=PRESIDENTオンライン(2012/07/20)より=
月刊誌「ファクタ」でオリンパスによる損失隠しの実態を暴き、3月に「雑誌ジャーナリズム賞」の大賞を受賞した山口義正氏。水面下で内部告発者とパイプを築くとともに、財務諸表を丹念に分析することで特報をモノにした。
山口氏は日本経済新聞出身で、同紙在籍時には証券部で企業財務や資本市場を取材。日本公社債研究所(現・格付投資情報センター)でアナリストとして働いたこともある。本人が「オリンパスのバランスシートに異常を見つけるうえでアナリスト経験が役立った」と振り返るように、専門性を生かすことで調査報道のお手本を示したといえる。
山口氏によるオリンパス事件の報道は、2001年に米史上最大級の粉飾決算発覚で経営破綻したエネルギー大手エンロンをめぐる報道と酷似している。
エンロン事件では、経済誌「フォーチュン」の記者ベサニー・マクリーン氏が最初に粉飾決算の可能性を指摘。しかし企業側から全面否定され、取材協力も得られなかった。最初の数カ月は、大新聞がファクタのオリンパス報道を無視したように、エンロン事件でもマクリーン氏の初報を追いかけるメディアはなかなか現れなかった。
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